私たちの
キセキ
Episode5
大雪の空港での温かさ
入社して半年を過ぎたころ、大雪の日に初めて欠航便の欠航便専用カウンターの担当になった。
欠航になった便がいくつかあり、さらに連休中で満席便が多くなかなか新しい予約をご用意することができず、一人一人のお客さま対応に時間がかかってしまった。
たくさんのお客さまの対応をしたが、依然長蛇の列が続き、ふと時計をみるとカウンターに立ってから三時間が経過していた。
しかし周りを見渡すと、どのお客さまも静かにご自分の番が来るのを待ってくださっており、それを見て私は、お客さまの要望にできる限り応えたいという気持ちが一層強まった。
「先ほどはありがとう、大変だろうけど頑張ってね」
すると一人のお客さまが、明後日、北海道で孫の結婚式があるからどうしても明日に北海道へ行きたい、と仰った。
北海道方面で空席がある便、またそこからの地上交通なども調べて紙に書いてお渡しすると、「本当にありがとう」と何度も感謝の言葉をかけてくださり、お客さまが描いたという絵手紙をいただいた。
また別のお客さまは、
「先ほどはありがとう、大変だろうけど頑張ってね」
一度離れたカウンターへお戻りになり、栄養ドリンクをくださった。
欠航になり一番辛いのはお客さまのはずなのに…
お客さまの優しさに感動し、人の温かさに胸が熱くなった。
誠心誠意いまできることに最善を
菊池 加奈
2016年入社
Staff Interview
当時私は新人で知識も浅く、ひとりひとりのお客さまへの対応に時間を要していました。大雪で欠航、ご案内まで長らくお待たせしたうえに、翌日も終日満席で振り替え便をご用意することが厳しい状況でした。お客さまにとってストレスを感じてしまう状況だったと思います。しかしこのようなエピソードが生まれたのは、誠心誠意お客さまに向き合った気持ちが届いたからだと思います。そしてこの時感じた、もっとスムーズで的確なご案内が出来ていたら、という想いは今の業務での向上心につながっております。
カウンターには北海道でさまざまな予定を控えている方が多くいらっしゃいました。親族の結婚式を控えている方や、イベント開催の方など人生の中でも大きなイベントがあるお客さまを対応したことが記憶にあります。そんな大切な予定があるのにもかかわらず、大雪に見舞われ欠航となってしまって残念な気持ちのはずが、対応したお客さまは誰一人苦情をおっしゃる方はいらっしゃらず、逆に対応した私に「ありがとう」という言葉を残し笑顔でカウンターを去っていくお客さまばかりでした。
私がサービスを提供する側にも関わらず、逆にお客さまから温かいお心遣いをいただきました。そして今度は私自身が、一人一人のお客さまに最高のサービスを提供していきたい、という思いを強くしてくれた一日でした。